消化器外科 本田 五郎 インタビュー

消化器におきた病気を手術で治療するのが消化器外科です

消化器外科
Digestive Surgery
主任部長
本田 五郎
Honda Gorou

極めて質の高い医療を自信をもって提供しています

消化器外科は食道、胃・十二指腸、小腸・大腸、肛門、肝臓、脾臓、胆道、すい臓など消化器官におきた病気を、手術によって治療する診療科です。当院の消化器外科は僕を含めて3人の部長がいて、消化器を「上部消化管」「下部消化管」「肝臓・胆道・すい臓」の3つに分けて診ています。僕は肝臓、胆道、すい臓の担当です。

当科ではクオリティーの高い外科医療を提供していますので、手術を希望する患者さんが多く、昨年10月に新たに消化器外科を開設したばかりですが、手術件数はすでに月70~80件にまで増えています。

患者さんとのコミュニケーションを大切にします

クオリティーの高さも当科の強みですが、きちんと患者さんに寄り添う医療を大切にしています。

診察はまず、患者さんの話を聞くところから始めます。これは医者としての基本で絶対条件です。患者さんは話しにくいのか、医者に対して詳しく話をしてくれないことがよくあります。例えば患者さんに「痛くありませんか?」と聞くと、「痛くありません」と答えます。そこで僕はあえて「痛いでしょ?」と聞きます。この方が「痛いです」と答えやすいと思うからです。「痛いでしょ?」を繰り返して、「痛くないですよ」という返事だったら、本当に痛みはないと理解します。

外科医は患者さんの情報を十分に吸い上げることができなければ治療はできません。病棟の看護師には痛みを訴えるのに、医者には言ってくれないのはよくあることです。

どうすれば患者さんが話してくれるようになるのかを考えました。そこで僕はベッドサイドに行く際、手前で立って話すのではなく、窓側に行って患者さんが使っている椅子を借りて座って話すようにしました。入り口を背にして立って、何かのタイミングで入り口の方を振り返ったりすると、「先生は忙しいから、すぐに戻らなければいけないのだろう」と患者さんは遠慮してしまい、せっかく話そうとするきっかけを奪ってしまうかもしれません。少しでも話しやすい環境をつくりたいので、回診する時は、必ず一人で行くことにしています。よく大学病院などで教授回診がありますが、何人も引き連れて先頭に立って病室に入ると、患者さんには僕が部長だと一目で分かります。だけど、そういう状況で、一番偉そうな人に本当に困っていることは話してくれないと思います。なので、一人で行くことにこだわっています。僕が部長だと知らない高齢の患者さんたちが結構います。

患者さんは入院中、病室で暮らすことになるので、少しでも快適に過ごしてほしいと思っています。ですから、例えば病室にゴミが落ちていたら、僕は拾います。細かいことかもしれませんが、これも僕のこだわりです。

高いクオリティーを維持する評価制度を導入

現時点で当科のクオリティーより高いものは、他院にはないというくらいの自信を持ってやっています。もちろん、医学の進歩に合わせてさらに進む必要はあります。当科での手術を希望して来られる患者さんがたくさんいて、僕も毎日手術していますが、現時点ではこれ以上、数を増やすのは難しくなっています。今後、ますます手術が増えることを考えると、若い医師たちを育てて、高いクオリティーの外科医療をより多く提供できる体制を整えなければなりません。手術の技術だけでなく、患者さんとのコミュニケーションなど、総合的なスキルを高めるために、若い医師の教育にも力を入れています。

僕のこれまでの経験に基づき、試行錯誤を重ねて医師としてのスキルを総合的に評価するシステムを作り、それを実践しています。医師を育てるための明確な戦略を持って体系立てたものです。これをさらに進めていけば、患者さんはもちろん、若い医師たちのためにも、病院のためにもなります。

さらなる高みを目指すモチベーションは「人のために」

僕は自分で考えて職業を選ぼうと思い、最初に大学は工学部に入りました。でも、居心地が悪くてすぐに退学し、地元の熊本に戻って翌年、医学部を受験しました。父は外科医で、帰宅してからも手術の話をよくしていましたので、結局は医師という職業の方が自然でいられるのだと思います。一方、伯父は高校教師の傍ら、水俣病患者を支援する会の会長をしていました。その頃はまだ水俣病の認定作業が進んでいなかったので、伯父は当時の厚生省の前で座り込みをしたり、私財を投げ打ったり、とにかく人のために惜しまずに働く人でした。そんな伯父の姿を見て育ったせいか、迷ったときは、それが人のためになることなのかどうかを常に判断基準にしてきました。

その結果として今の自分があると信じていますので、「人のために」頑張る場所があれば、さらなる高みを目指すモチベーションになると思います。

最終的な目標は、日本の外科医療の維持と向上

現在、実践している若手医師の総合的スキル評価システムによって、手術がうまくて患者さんにも信頼されて、しかも高いマネージメント能力を持った医師を育てることを目指しています。彼らが成長し、いずれここを離れていくことになるでしょうが、そうなると日本中にクオリティーの高い外科医療が広がることにつながります。この評価制度が成熟すれば、おそらく日本中で使えるシステムになるでしょう。当院に限らず、日本の医療を取り巻く様々な問題の解決につながるかもしれません。日本の外科医療の維持、向上につながることが、僕の最終的な目標です。

患者さんに安心して来てもらって、安心して治療を受けていただけるのが、当科の良さです。他院との違いは、一度受診すれば絶対に分かっていただけるはずです。安心してお越しください。