耳鼻咽頭科・頭頚部外科 松本 吉史 インタビュー

患者さんと一緒に病気と闘っていきます

耳鼻咽頭科・頭頚部外科
Earnosethroat
部長
松本 吉史
Matsumoto Yoshifumi

患者さんとのコミュニケーションを大切にします

耳鼻咽頭科は聴覚、嗅覚、味覚の感覚をつかさどっている耳や鼻、喉などの感覚器を担当する科です。そのほかには嚥下といって食べたものを飲み込むところ、呼吸をする空気の通り道などを診るのが耳鼻科です。クオリティオブライフ(QOL:生活の質)に関わるところや生命に関わるクリティカルな部分も対応しなければいけない科だといえます。

僕の専門は耳鼻咽頭科の中でも頭頸部がんなので、がんの治療や手術を担当することが多くなります。咽頭がん、喉頭がんの場合、がんが進行している患者さんに関しては喉を取る手術をすることがあります。そうすると呼吸をする空気の通り道をつくるために永久気管孔という形で首に穴を開けます。非常に辛いことですが命にかかわることなので、事前に患者さんとよく相談して方針を決めて手術をします。患者さんは声を失ってしまいますので、術後のコミュニケーションは筆談になります。頭頸部がんでは、術後も食事が食べられなかったり、息が詰まるような感じがしたり、不自由を感じることがたくさんあります。ですから僕は術後もリハビリを含めて患者さんと一緒に病気と闘っていかなければいけないと思っています。

満足度の高い医療を目指し、試行錯誤をしています

高校生の時に「パッチ・アダムス」という昔のアメリカのドキュメンタリー映画を観ました。医療制度に縛られず、患者さんの笑顔になることを優先して行っている医師の半生を描いたストーリーですが、僕も主人公のように人の役に立つような、人を笑顔にするような仕事をしたいと思って医師を志しました。僕が学生時代にお世話になった教授は、頭頸部がんの第一人者です。気さくな方で医局の隅々まで気配りが行き届いていて、人格的にも優れていました。憧れのドクターで僕もこういう医者になりたいと思いました。

教科書や本には病気や症状によってふさわしいとされる治療法が書かれています。でも患者さんによって価値観も異なるので選択される治療法も違います。ですから正しい病気の知識を患者さんにご説明した上で、治療法を選んでいただいています。決められない時は僕の価値観や医学的知識に基づいてご提案したりすることもありますが、なるべく満足度の高い医療を提供できるように、試行錯誤しながらやっております。僕が目標とする憧れのドクターもそうでしたが、技術はもちろん、医療は人と人とのコミュニケーションも非常に重要ですので、その人の社会背景や人格なども考慮して治療に当たっています。

丁寧なご説明を常に心掛けています

僕の役割は、主に頭頸部がんの診療をすることです。手術の前には術後のイメージが湧くようになるべく詳細に説明します。声を失うと言っても声が出なくなるのか、声が枯れるだけなのか、本当にしゃべれなくなるのか、患者さんによって受け止め方がさまざまです。酷なことですが、筆談になる場合でもしっかり事実をお伝えすることを意識しています。手術をすると、その後の体の形態や見た目がかなり変わりますので、時間をかけてしっかり説明していきます。上顎洞がんの方だと目を一緒に取ったりすることもあります。その場合は形成外科で再建手術をすると、ここまではきれいに治るという具体的な方法をお示しします。時間を惜しまず、患者さんのその後の人生に少しでもいい方向で関われたらと思っています。

ただ当然僕一人では、力が及ばない部分もたくさんあります。例えば頭頸部のがんの術後は飲み込むことが不自由になることが多いので、食事を飲み込めるようにするためのリハビリをします。半年とか長ければ1年続くこともあり、リハビリにはご家族のサポートが欠かせませんし、言語聴覚士や理学療法士、看護師という医療スタッフの連携も必要になります。治療においても抗がん剤を使うなら薬剤師、放射線治療なら放射線治療科の医師の協力が必要です。このように他の診療科や部署との連携を取って、多職種の人が患者さんに関われるように環境を整えていく必要があると感じています。

患者さんの声を最優先にした医療をこれからも

今後も患者さんの声によく耳を傾けて、その訴えやニーズに応じた医療をなるべく提供できるように努力していきたいと思います。当院は患者さんのご都合に応じて、手術日程をフレキシブルに対応しています。ご希望であれば、土曜日でも手術をします。設備もとても良く整えられていますし、麻酔科の先生方、手術室の看護師さんたちもとても柔軟に対応してくれるので、安心して手術を受けていただけます。

今後はさらに後進の育成にも力を入れていきたいと考えています。現在は後期レジデント(臨床研修医)に来てもらっていますが、教育することによって当院に限らず、後進たちが他の地域でも質の高い医療を展開できます。全体としての医療の質を高められたらいいと思っています。 耳鼻咽喉科は鎖骨より上の首、頭で、目と脳を除いた部分が診察領域になります。その辺りで何か不調があるときはすぐに来ていただければ、相談に乗れるかと思います。まずは受診していただくのがいいかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。