整形外科でロボット手術始まる

mako
手術支援ロボット「メイコー」による
損傷した関節から人工関節への
関節置換術
about

手術支援ロボット
「メイコー」とは何か?

人工関節ロボットMako(メイコー)は、整形外科手術、膝や股関節の置換手術に使用される手術支援ロボットシステムです。人工膝関節全置換術(TKA)、人工膝関節単顆置換術(UKA、PKA)、人工股関節全置換術(THA)の手術に使用されます。このシステムは、より正確で精密な手術ができるように術者をサポートします。まず術前にCTを撮影し、患者さまごとの詳細な3D画像を作成します。Makoはそれに基づいて最適な手術計画を立案、実際の手術にその計画に沿ってロボットが動作します。CTを使用しない人工関節ロボットもありますが、CTを用いたMakoシステムが最適な手術方法と考えています。

今までの手術と比べて
よいところ

Mako手術は、特に膝や股関節の置換手術において、術後の痛みや回復期間の短縮、
長期的な関節の耐久性を向上させる可能性がある術式として注目されています。
01
精度の適合性
Makoは患者さまの解剖学的構造を3Dでスキャンして、そのデータをもとに手術を行います。これにより人工関節の正確な配置が可能となり、術後の回復が早くなることが期待されます。骨切りの精度が1㎜以下のために今まではセメントを使用して人工関節を設置していましたが、セメントを使用せずにプレスフィットで手術することが出来ます。
02
最小侵襲
ロボットがガイドとなることで、切開の範囲を最小限に抑え、患者さまの負担を軽減します。今までの人工膝関節全置換術(TKA)では、髄腔にガイドのために穴をあけていましたがMakoでは不要です。また、今までの手術では外科イメージ装置(放射線透過装置)を使用して患者さまも術者も被爆していましたが、Makoでは外科用イメージ装置は使用しません。軟部の剥離も従来の手術に比べ最低限しか行わないので侵襲が少ないです。
03
リアルタイムでフィードバック
術者は手術中、Makoからリアルタイムでフィードバックを受けることができ、モニターで数値化されるため計画通りに手術が進んでいるかを確認できます。骨切り前に膝の伸びた時のバランス、曲げたときのバランスを予想できるために正確に患者さまにあった骨切りが行えます。
04
手術のカスタマイズ
Makoシステムは、個々の患者さまに合わせた手術を計画するため、標準的な骨切りではなく患者さま一人ひとりに最適な骨切りを提案します。
Surgical form

当院で行う人工膝関節全置換術

当院では、手術支援ロボット「Mako」を使用し、人工膝関節全置換術(TKA)を行っています。従来はメカニカルアライメント法(MA法)で脛骨を90度に骨切りし、機能軸(大腿骨頭と足関節中央を結ぶライン)が膝の中央を通る一定のやり方で手術していました。しかし現在はMakoを用いたキネマティックアライメント法(KA法)を採用しています。この方法により変形性膝関節になる前の自然な脚の形に近づけることが出来ます。Makoでは後十字靱帯(PCL)の付着部をアイランド状に正確に骨切りできるため、PCLを温存しながらCR型(Cruciate-Retaining型)で手術を行うことが可能です。これにより膝がより安定して自然な動きになります。

手術後の疼痛コントロールは麻酔科と連携し、抗凝固薬(バイアスピリン、ワーファリン、プラビックスなど)を内服している患者さまにも対応できるよう、硬膜外ブロックではなく持続神経ブロック(坐骨神経・大腿神経ブロック)を実施しています。さらに、手術中に関節カクテル注射を行うことで術後の痛みを大幅に緩和しています。

また、当院では手術中にターニケット(血止めバンド)の使用を極力控えています。ターニケットを使用しないことで、深部静脈血栓症(DVT)の発症リスクを低減し、手術直前に抗生剤を確実に届かせることが可能です。さらに、手術中に出血点を確認しながら確実な止血操作を行えるため、安全性が向上します。止血にはAquamantysバイポーラシステムを使用し、確実な止血を行うことで術後にドレーンは使用しません。これにより感染リスクが低下し、リハビリもスムーズに進められます。

さらに、当院ではMIS(Minimally Invasive Solution)手術を採用し、筋肉や皮膚などの軟部組織への負担を最小限に抑えています。これにより術後の疼痛や手術侵襲が軽減され、リハビリの早期進行と社会復帰の促進が可能となります。

当院は心臓内科や心臓血管外科が国内屈指の実績を有するな病院であり、TKAに伴う深部静脈血栓症(DVT)の発症や持病の悪化などが起こった際には、内科医と連携し迅速に対応しています。また、抗凝固薬を内服している患者さまにも柔軟に対応しており、バイアスピリンは継続したまま手術を行い、ワーファリンはヘパリンの点滴に変更することで安全に手術を実施しています。

手術はバイオフリー手術室(スーパークリーンルーム)で行い、感染対策には細心の注意を払っています。手術中はZimmer-Biomet社製のTotal Shield(Surgical-Helmet-System)とジンマーデブリットシステム(ジェット洗浄)を使用し、人工関節手術における感染リスクを徹底的に抑えています。

当院は、最先端の手術支援ロボットMakoやMIS手術、厳格な感染対策を駆使し、安全かつ低侵襲で患者さまの負担を軽減する人工膝関節全置換術を提供しています。

flow

手術前から退院後までの流れ

STEP 01
松戸駅前にある新東京クリニックで整形外科での診察(徒手検査、レントゲン、MRIなど)を受診していただきます。保存療法が良いか、手術が良いかを説明させていただきます。
STEP 02
手術が必要であれば、心臓、肝臓、腎臓、深部静脈血栓症(DVT)、糖尿病など内科的な疾患がないか全身の精査をさせていただきます。(内科的疾患があるときは内科の先生の診察を受診していただきます。)
STEP 03
内科的に手術が可能であれば入院予約をし、後日の手術に備えて自己血輸血のために貯血(400㏄)を行います。
STEP 04
手術の1日前、もしくは2日前に入院していただき、再度ご本人とご家族に手術の必要性、手術のリスク、リスクの対象法などについて説明させていただきます。
STEP 05
入院期間は約2週間から3週間です。手術時間は約1時間です。入院のリハビリに続き退院後もリハビリを外来にて行います。

人工関節手術の費用

人工関節の手術は保険が適応されます。入院の申込時に高額療養費制度の説明があります。事前に申請しておけば入院費の支払いが自己負担限度額までとなります。

動画で見るMako

人工関節前置換術の流れ
人工関節前置換術の流れ
ロボットアームを使用した人工股関節全置換術
ロボットアームを使用した人工股関節全置換術