「看護師としての“やさしさ”とは」

第三回看護フォーラムが12月3日午後1時より、3階講堂で開催されました。第三回となる今回は、『看護師としての“やさしさ”とは』をテーマに、5名の看護師と他部署から3名が発表を行い、日々の業務の中に埋もれてしまいがちな「やさしさ」を言語化し、「“大切な何か”を見つけ合う場」となりました。

看護部各部署の発表

6B病棟 S.A.さん

看護を実践するには相手を思いやる気持ちが不可欠です。身の回りのことをなんでもすることは看護ではなく、患者ができること、できないことをアセスメントし看護介入を行うこと、それが相手を思いやった優しさのある看護であると考えています。優しさの受け取り方は患者さんそれぞれ異なり、看護師の優しさも人それぞれです。患者さんの立場になり、今必要としているケアは何か、よく考えられる優しい看護師でありたいです。

先生からのコメント

患者さんの甘えたい気持ちを読んで、「私はあなたができると思うので手伝わない、やってほしい、頑張ってほしい」と、こちらが期待していることをきちんと伝えることが“やさしさ”なのではないかなと思います。

5B病棟 C.S.さん

私たち看護師は症状マネジメントやこの先にどのような経過をたどるか、今後起こり得る症状などの医学的知識をもった上で支援することは必要です。しかし、目の前にいる人、それは『病気の患者さん』ではないのです。私たちと同じようにこれまでの人生を生きてこられ、これからも変わらぬ人生を生きるために、患者さんの希望・思いをくみ、時に私たちも看護師という仮面を脱ぎ捨てて、ともに語り合い、その人らしく生きることを支えることこそ、看護師としての“やさしさ”だと考えます。

先生からのコメント

「希望というのは日常の中にある」と言っていたのはとても良い言葉ですね。「私はそう思っていた」と言っても、相手に伝わらなければ何も効力がありません。上手く伝える技術を明確にした方がいいのではないかと思います。

ICU S.H.さん

私の考える優しい看護師とは、患者さんの訴えに真摯に耳を傾ける看護師です。患者さんの訴えは様々で、ICUには鎮静や挿管、気管切開等により言葉で訴えることが出来ない患者さんも多く、より注意深く観察する必要があると考えます。より良い看護のために、目の前にいる患者さんは何を感じ、何を望んでいるのかを考え、それぞれの想いに寄り添う努力を続けていくことが大切であると考えます。これからも患者さんのために出来ることは何か考え、行動したいです。

先生からのコメント

「患者さんの想いに寄り添う」はとても貴重なキーワードだと思いました。看護師の寄り添う気持ちでとった行動というのは治療効果があると思うので、是非頑張っていただけたらと思います。

カテーテル室 H.Y.さん

私が考える看護師としてのやさしさは、相手に「寄り添う」ことで、「患者さんの立場に立って、患者さんの心身の痛みや苦しみを共感し、支える」ということです。カテ室では病棟での生活に寄り添った看護とは異なり、検査・治療の場での看護となります。一人一人の患者さんと関わる時間が短いですが、限られた時間で一人一人の患者さんに寄り添えているか、看護師としての優しさを提供できているか考えながら患者さんと関わっていきたいと思います。

先生からのコメント

気持ちの寄り添い方は、例えば背中に手を添えて一言で良いので「気を付けて歩いてくださいね」等と言って、姿勢と態度で患者さんの気持ちを思いやるよう心がけられると良いと思います。

外来 T.N.さん

多くの患者さんが求める優しさとは、患者さんに興味を持ち、観察し、その患者さんの考えを想像しながら対応し、信頼関係を構築しながら患者さんの感情の動きにペースを合わせ、共に考える姿勢をもつことではないかと思います。白衣のユニフォームは着ているだけで『白衣の天使』と言われる威力を持ちます。ユニフォームだけではない天使のイメージである“優しさ”を私は提供したいと思います。そのために患者さんの思いに目を向け、寄り添いたいと思います。

先生からのコメント

看護師と診療している先生との間での情報共有も重要だと思います。

他部署より考える“こうあってほしい看護師像”

診療部 H.M.さん

医師も看護師も知識、技術は持っていて当然です。プラスアルファとして、話を聞く、共感、思いやりなどの“やさしさ”を持っていることが重要だと思います。同じ人はいない、同じ病名でも同じ症状の人はいないので、たくさんの患者さんのうちの一人だと思わず、一人一人一対一になるように心がけています。また、“やさしさ”を患者さんだけでなく医療従事者にも向け、看護師同士、あるいは医師と看護師の間の対立が起きないように心がけましょう。チーム医療として機能しないと良い医療はできません。それぞれが他人から言われてできることではなく、自分で考えて行動しましょう。

生理検査室 Y.O.さん

私の考えるこうあってほしい看護師像の1つ目は、変われる看護師です。私たちの生活、社会環境は変化し続けています。例えば20年前の紙カルテの時代から現在は電子化が進むことによって業務の効率化が進んでいます。それと共に情報の共有化も必要なスキルだと思います。また、近い将来は超高齢化社会、少子化が進み、医療への負担は増え、働き手の少ない状況で自分たちがどう変わって業務に取り組んでいくかも求められています。それに伴い、知識や技術もアップデートしていかなければなりません。2つ目の看護師像としては、逆に変わらないでいてほしい看護師です。患者さんへの愛情、向上心や自己研磨、責任感については変わらずにいてほしいと思います。

MEサービス室 K.C.さん

MEは常に病棟にいるわけではないので、モニター波形から異常がないかを観察してくれているのは看護師です。いつも細かく観察してくれているのでとても心強く感じています。最近はMEでもついていけないくらい新しい機能が追加され、デバイスが進歩していますので、わからないことがあれば質問してほしいです。看護師と臨床管理士間で情報共有することで、患者さんの不安に寄り添える優しい看護につながるようにしていきたいと思っています。

特別講演

M.M.先生

「看護の“やさしさ”について」をテーマに、「優れた看護師はやさしい印象を与える」「看護とは」「看護とはケアリング」「看護の本質はケアリング」「トランスパーソナルケアリング」等についてお話いただきました。

Y.H.先生

「医療とは?」「治療することか??」Cure V.S. Care

コメンテータからの総評

M.M.先生

今後情報は進化していくと思います。でも人間の体は変わらない、それほど進化するものではないので、今日のテーマである“やさしさ”というのは治療にもなるし、情報収集の一つの手段にもなるし、あらゆるものの根底にあるものはやはり“やさしさ”なんだと感じました。心理的な安全性を大事にするということはすごく大事だと思います。残業して頑張る時代ではないので、皆さん自分の生活を大切にしながら頑張っていただきたいなと思います。

Y.H.先生

新東京のスタッフの方々がそれぞれの立場で講評していただいたので、非常に良い会になったと思います。ありがとうございました。