実績

心臓血管外科 2022年度実績

  1. 昨年1年間の開心術(人工心肺症例262例、非人工心肺症例およびオフポンプ冠動脈バイパス手術7例)が269例、胸部大動脈ステントグラフト術22例で心臓胸部大血管手術総数は291例(昨年は262例、2年前が312例)と、全体的に総数は戻ってきています。
  2. 低侵襲手術の柱として腹部大動脈ステントグラフト(67例)、胸部大動脈ステントグラフト(22例)、MICS(右小開胸、胸骨下部部分切開)での大動脈弁や僧帽弁手術は16例でした。胸部真性、あるいは急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に対して開始したオープンステントグラフト手術は、良好な成績とともに本邦でもトップクラスの症例数(2014年7月~2022年12月までに289例)になっています。この国産ステントグラフトの海外、とくに保険償還が決まった台湾での普及に台北や台中の病院まで足を運び、技術指導やアジア心臓胸部外科学会、イタリアでの研究会等大きな場所での講演を積極的に努めてまいりました。このことがきっかけで昨年AMECase reports(ACR)というオンライン国際雑誌の編集委員に指名されました。今年からは2カ月に1回の雑誌編集に尽力しなければなりません。
  3. 一方柏癌センター呼吸器外科や築地中 央癌センター食道外科と共同しての、心臓や頸部血管、大血管にまで浸潤した肺癌、縦隔腫瘍ならびに食道癌を手術・治療することも引き続き積極的に行い、相互協力体制をより信頼できる強固なものにしています。特に今回栗田先生は、心臓外科領域でこの1年間に多くの経験をされ、今では当科でなくてはならない存在価値を示してくれました。今後食道領域をさらに極めていくうえで、今回の研修が大いに役立つことでしょう。彼を1年間当科に預けていただいた築地中央癌センターの大幸主 任部長には大変感謝しております。
  4. さらに、千葉県内でエホバの証人の心臓病患者に対して心臓手術を提供できる唯一の施設としての役割も引き続き務めています。
  5. またここ数年間は弁膜症の再手術症例が増加しており、再手術の原因の一つに生体弁機能不全(Structural Valve Disease; SVD)が多く認められました。このようなSVD患者に対しては、外科的再弁置換術と経カテーテル大動脈弁置換術治療(TAVI)の二つの治療法があり、病状の重症度や年齢に応じて適応を選択しています。患者さんのライフスパーン、予後を見据えた人工弁の選択、大動脈弁置換術が今後より大切になってくるでしょう。
  6. 透析患者さんにも適応が拡大されたTAVIの増加が目立つ一方で、今後も術後患者に対する丁寧なフォローアップが必要になってきます。
心臓大血管手術(2020年312例、2021年262例)

心臓大血管手術

手術内訳

心臓血管外科 2021年度実績

  1. 昨年1年間の開心術(人工心肺症例245例、非人工心肺症例およびオフポンプ冠動脈バイパス手術4例)が249例に減少、胸部大動脈ステントグラフト術13例で心臓胸部大血管手術総数は262例(昨年は312例)でした。繰り返すコロナ禍の影響もくすぶっており、全体的に総数は減っています。
  2. 低侵襲手術の柱として腹部大動脈ステントグラフト(37例)、胸部大動脈ステントグラフト(13例)、MICS(右小開胸、胸骨下部部分切開)での大動脈弁や僧帽弁手術は13例でした。胸部真性、あるいは急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に対して開始したオープンステントグラフト手術は、良好な成績とともに本邦でもトップクラスの症例数(2014年7月〜2021年12月までに241例)になっています。この国産ステントグラフトの海外、とくに保険償還が決まった台湾での普及に、台北や台中の病院まで足を運び技術指導をし、アジア心臓胸部外科学会やイタリアでの研究会等大きな場所での講演も積極的に努めてまいりましたが、2年前からはwebでの講演や研究会参加のみとなっております。
  3. 一方柏癌センター呼吸器外科や築地中央癌センター食道外科と共同しての、心臓や頚部血管、大血管にまで浸潤した肺癌、縦隔腫瘍ならびに食道癌を手術、治療することも引き続き積極的に行い、相互協力体制をより信頼できる強固なものにしています。
  4. さらに、千葉県内でエホバの証人の心臓病患者様に対して心臓手術を提供できる唯一の施設としての役割も引き続き務めています。
  5. ここ数年間は弁膜症の再手術症例が増加しており、再手術の原因の一つに生体弁機能不全(Structural Valve Disease;SVD)が多く認められました。このようなSVD患者に対しては、外科的再弁置換術と経カテーテル大動脈弁置換術治療(TAVI)の二つの治療法があり、病状の重症度や年齢に応じて適応を選択しています。患者様のライフスパーンと予後を見据えた人工弁の選択と大動脈弁置換術が今後より大切になってくるでしょう。

 

心臓大血管手術

手術内訳

心臓血管外科 2020年度実績

  1. 昨年1年間の開心術(人工心肺症例283例、非人工心肺症例およびオフポンプ冠動脈バイパス手術6例)が289例に減少、胸部大動脈ステントグラフト術23例で心臓胸部大血管手術総数は312例(昨年は375 例)でした。胸部真性、あるいは急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に対して開始したオープンステントグラフト手術は、良好な成績とともに本邦でもトップクラスの症例数(2014 年7 月〜2020 年12 月までに212 例)になっています。この国産ステントグラフトの海外、とくに保険償還が決まった台湾での普及に、台湾の台北や台中の病院まで足を運び、技術指導やアジア心臓胸部外科学会、イタリアでの研究会等大きな場所での講演に一昨年までは積極的に努めてまいりましたが、昨年はweb での講演や研究会参加のみでした。
  2. 低侵襲手術の2 本の柱として腹部大動脈ステントグラフト(60例)、胸部大動脈ステントグラフト(23 例)治療は安定した症例数と成績を維持した一方で、MICS(右小開胸、胸骨下部部分切開)での大動脈弁や僧帽弁手術は18 例でした。また、柏癌センター呼吸器外科や築地中央癌センター食道外科と共同しての、心臓や頚部血管、大血管にまで浸潤した肺癌、縦隔腫瘍ならびに食道癌を手術、治療することも引き続き積極的に行い、相互協力体制をより信頼できる強固なものにしています。さらに、千葉県内でエホバの証人の心臓病患者様に対して、心臓手術を提供できる唯一の施設としての役割も引き続き務めています。
  3. ここ数年間は再手術症例が40 例から50 例近くあり、再手術の原因の一つに生体弁機能不全(Structural Valve Disease;SVD)が多く認められました。このようなSVD患者に対しては、外科的再弁置換術と経カテーテル大動脈弁置換術治療(TAVI)によるValve in Valve の二つの治療法があり、病態に応じて適応を選択しています。患者様のライフスパーンと予後を見据えた人工弁の選択、大動脈弁置換術が今後より大切になってくるでしょう。
  4. 透析患者様にも適応が拡大されたTAVI(2020 年度は118 例)の増加が目立つ一方で、コロナ禍の中、増加傾向にあった下肢レーザー治療(2019 年度は186 例)は著明に減少しました。

 

心臓大血管手術

手術内訳

心臓血管外科 2019年度実績

  1. 昨年1年間の開心術(人工心肺症例341例、非人工心肺症例およびオフポンプ冠動脈バイパス手術15例)が356例に増加、胸部大動脈ステントグラ フト術19例で心臓胸部大血管手術総数は375例でした。中でも胸部真性、あるいは急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に対して開始したオープンステントグラフト手術は、良好な成績とともに本邦でもトップクラスの症例数(2014年7月〜2019年12月までに184例)になっています。
  2. この国産ステントグラフトの海外とくに保険償還が決まった台湾での普及に、台湾の台北や台中の病院まで足を運び技術指導やアジア心臓胸部外科学会やイタリアでの研究会等大きな場所での講演に積極的に努めました。今年は台北の病院から本手技を積極的に学びたいと手を挙げている若い先生を1ヶ月の期間受け入れる予定です。
  3. 低侵襲手術の2本の柱として腹部大動脈ステントグラフト(55例)、胸部大動脈ステントグラフト(19例)治療は安定した症例数と成績を維持した一方で、MICS(右小開胸、胸骨下部部分切開)での大動脈弁や僧帽弁手術は26例ですが、その代わりに重症複合弁膜症は本年も順調に症例を増やしました。
  4. また、柏癌センター呼吸器外科や築地中央癌センター食道外科と共同しての、心臓や頚部血管、大血管にまで浸潤した肺癌、縦隔腫瘍ならびに食道癌を手術、治療することも引き続き積極的に行い相互協力体制をより信頼できる強固なものにしています。さらに、千葉県内でエホバの証人の心臓病患者様に対して心臓手術を提供できる唯一の施設としての役割も引き続き務めています。
  5. ここ数年間は再手術症例が40例から50例近くあり、再手術の原因の一つに生体弁機能不全(Structural Valve Disease;SVD)が多く認められました。2015年から2019年の5年間に31例のSVDに対して再弁置換術を行いました。患者様のライフスパーンと予後を見据えた人工弁の選択と大動脈弁置換術が今後より大切になってくるでしょう。
  6. TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術治療; 105例)や下肢レーザー治療(186例)なども含めた、当科での2019 年度の総手術数は926例(2017 年度685 例、2018年度850例)でした。

 

心臓大血管手術

手術内訳

心臓血管外科 2018年度実績

  1. 2018年度1年間の総手術件数は約650例でした。このうち開心術(人工心肺症例、非人工心肺症例およびオフポンプ冠動脈バイパス手術)は315例、胸部大動ステントグラフト術21例、TAVI101例で心臓胸部大血管手術総数は437例でした(手術成績Table欄参照)。
  2. 循環器内科との合同チームでTAVI(transcatheter aortic valve implantation;経カテーテル大動脈弁治療)を2018年度は101例施行(現在までに400例以上施行)しております。外科的大動脈弁置換術とTAVIのどちらかを選択するかはハートチームで検討して、最近では以前手術で移植した生体弁機能不全患者様に対してTAVI(足からのアプローチで)で生体弁置換を行うvalve in valveという手技も開始しており、患者様に提供できる選択肢が増えています。生体弁と機械弁のどちらかを選択するかは、患者様のライフスパン、ライフプランを考慮して将来どの時点で再手術が必要になるのかを勘案、相談した上で決定する必要があるでしょう。
  3. 大血管手術症例の著しい増加とともに、低侵襲であるステントグラフト治療(2018年度EVAR61例&TEVAR21例、計83例)は2017年度のEVAR45例&TEVAR45例と比較して減少していますが、安定した成績をおさめています。腹部大動脈瘤手術93例の内訳はEVAR(ステントグラフト)を61例、開腹手術32例です。それとともに繰り返すステントグラフト治療にもかかわらず瘤径の増加を認め続ける患者様に対しては開腹手術を行うこともあります。2007年1月から2018年6月までに413例のEVARを施行しましたが5例(1.2%)がopen conversionしました。
  4. 2014年7月からは保険適用が認められた国産ステントグラフト(商品名はFrozenix)を用いて行われるオープンステントグラフト法は、胸を開けて患部の血管にステントグラフトという金属製の骨組みに支えられた人工血管を挿入する方法です。直視出来るので患部にステントグラフトを確実に留置できるだけでなく、人工血管置換術よりも傷口が小さく済み、身体的な負担が軽い手術法なので、高齢者や他の心疾患合併で同時手術を要す患者様にも行えます。胸部真性、あるいは急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に対して開始したオープンステントグラフト手術は、良好な成績とともに2014年7月から2018年12月までに150例近く施行し本邦でもトップクラスの症例数になっています。下町ロケットの町工場から開発された国産ステントグラフト(ライフライン社)の海外での普及に努め、2018年4月には、保険償還が決まった台湾での初症例(国立台湾大学DrWuらによる)にプロクタリングとして指導参加したほか、2018年11月24日、25日の両日に行われた台湾胸部外科学会での招聘講演もしました。さらには台湾の心臓血管外科医に当院まで来ていただき、技術指導目的で公開手術も施行しています。
  5. 現在は消化器外科を初めとしたほとんどの外科領域で、内視鏡を使用し小さな傷で術後の回復が早い手術が行われるようになり、さらに保険診療で内視鏡加算が取れる ようになったことが、内視鏡補助下右小開胸手術施行に 拍車をかけています。本手術はゴールデンスタンダードなアプローチである胸骨正中切開法と比べて胸骨感染を起こす可能性が低いこと、運転や力仕事などの運動制限が軽く早期に日常生活に戻ることが可能なこと、傷などの美容面で優れています。全ての方に可能な術式ではなく、動脈の石灰化が強い方やいくつもの手術を同時に行わなければいけない方は適応外としています。2016年3月からは右小開胸下僧帽弁形成術を再スタートしておりますが、2017年度の小切開(右小開胸、胸骨下部部分切開)での大動脈弁、僧帽弁手術は48例、冠動脈バイパス手術(右小開胸MIDCAB)は1例施行しており、本年も順調に症例を増やしています。2019年4月から当院でもダヴィンチ(手術支援ロボット)を揃えており将来的なロボット支援心臓手術の準備も考えています。
  6. 国立がん研究センター東病院呼吸器外科、国立がん研究センター中央病院食道外科と共同して、心臓や大血管、頚部血管にまで浸潤した肺癌、縦隔腫瘍、食道癌を手術、治療することも引き続き積極的に行っています。
  7. 千葉県内でエホバの証人の心臓病患者様に対して唯一心臓手術を提供できる施設としての役割をつとめています。日頃の手術で無輸血手術を心がけている結果としてできることです。以上手術の質を落とすことなく手術全体の侵襲を縮小して、患者様の術後回復度を早め、早期退院が出来るように努めています。

心臓大血管手術

手術内訳

心臓血管外科 2017年度実績

  1. 2017年度1年間の総手術件数は702例でした。このうち開心術(人工心肺症例、非人工心肺症例およびオフポンプ冠動脈バイパス手術)は300例、胸部大動ステントグラフト術50例で心臓胸部大血管手術総数は350例でした。
  2. 循環器内科との合同チームでTAVI(transcatheter aortic valve implantation; 経カテーテル大動脈弁治療)を2017年度は94例施行(現在までに300例以上施行)しております。外科的大動脈弁置換術とTAVIのどちらかを選択するかはハートチームで検討して、最近では以前手術で移植した生体弁機能不全患者に対してTAVI(足からのアプローチで)で生体弁置換を行うvalve in valveという手技も開始しており、患者さまに提供できる選択肢が増えています。
    TAVI
  3. 大血管手術症例の著しい増加とともに、低侵襲であるステントグラフト治療(EVAR 96例&TEVAR50例,計146例)が増加し関東圏内でも5指に入る症例数です。腹部大動脈瘤手術123例の内訳はEVAR(ステントグラフト)を96例、開腹手術27例でステントグラフト治療が年々増加しております。それとともに繰り返すステントグラフト治療にもかかわらず瘤径の増加を認め続ける患者様に対しては開腹手術を行うこともあります。
  4. さらに2014年7月からは保険適用が認められた国産ステントグラフト(商品名はFrozenix)を用いて行われるオープンステントグラフト法は、胸を開けて骨組みに患部の血管にステントグラフトという金属製の骨組みに支えられた人工血管を挿入する方法です。直視出来るので患部にステントグラフトを確実に留置できるだけでなく、人工血管置換術よりも傷口が小さく済み、身体的な負担が軽い手術法なので、高齢者や他の心疾患合併で同時手術を要す患者様にも行えます。胸部真性、あるいは急性、慢性解離性大動脈瘤などあらゆる形態の動脈瘤に対して開始したオープンステントグラフト手術は、良好な成績とともに2014年7月から2018年9月までに124例施行し本邦でもトップクラスの症例数になっています。下町ロケットの町工場から開発された国産ステントグラフト(ライフライン社)の海外での普及に努めています。
    2018年4月には、保険償還が決まった台湾での初症例(国立台湾大学Dr.Wuらによる)にプロクタリングとして指導参加したほか、2018年11月24日、25日の両日に行われる台湾胸部外科学会での招聘講演にも参加します。
  5. 現在は消化器外科を初めとしてほとんどの外科領域で内視鏡を使用して小さな傷で術後の回復が早い手術が行われるようになり、さらに保険診療で内視鏡加算が取れるようになったことが内視鏡補助下右小開胸手術施行に拍車をかけています。本手術はゴールデンスタンダードなアプローチである胸骨正中切開法と比べて胸骨感染を起こす可能性が低いこと、運転や力仕事などの運動制限が軽く早期に日常生活に戻ることが可能なこと、傷などの美容面で優れています。総ての方に可能な術式ではなく、動脈の石灰化が強い方や、いくつもの手術を同時に行わなければいけない方は適応外としています。2016年3月からは、右小開胸下僧帽弁形成術を再スタートしておりますが、2017年度の小切開(右小開胸、胸骨下部部分切開)での大動脈弁、僧帽弁手術は15例で、冠動脈バイパス手術(右小開胸MIDCAB)は1例施行致しましたが本年も順調に症例を増やしています。
    MICS低侵襲心臓手術
  6. 国立がん研究センター東病院呼吸器外科と共同して、心臓や大血管にまで浸潤した肺癌、縦隔腫瘍を手術、治療することも引き続き積極的に行い、食道外科ともコラボを拡げ食道癌の頸部血管浸潤も手術、治療しています。
  7. 千葉県内でエホバの証人の心臓病患者に対して唯一心臓手術を提供できる施設です。日頃の手術で無輸血手術を心がけている結果としてできることです。

以上手術の質を落とすことなく手術全体の侵襲を縮小して、患者さんの術後回復度を早め、早期退院が出来るように努めています。