腹腔鏡下膵体尾部切除術

膵臓はみぞおちのあたりから左側に向かって細長く横たわっていて、左端は肋骨と横隔膜に囲まれたもっとも奥深い位置で脾臓に接しています。

膵体尾部切除術の際には、膵臓の体部と尾部(膵臓の左側約2/3)を脾臓とともに切除しますが、お腹の左上奥の方での手術操作が必要なため、開腹手術では大きくお腹を切開する必要があります。

一方、腹腔鏡手術では、膵臓や脾臓を摘出するために必要な4-5cm程度のきずで済みますので、手術後の痛みが少なく、体力的な負担が大幅に軽減されます。

膵体尾部切除で切除される範囲(膵体尾部と脾臓)

当センターの特徴

①国内随一の経験数に基づく標準化した手術手技

私たちはこれまでにたくさんの患者さんに腹腔鏡下膵体尾部切除術を行ってきた中で、より安全で確実な手術手技を標準化(定型化)してきました。
その手術手技は学会・研究会での講義や直接の手術指導によってたくさんの外科医に伝えられ、今では国内外の多くの病院で取り入れられ、実際に行われています。

②極めて低い膵液漏れ(膵液瘻)の発生率

膵臓の手術では手術後に膵臓を切り離した部位から膵液が漏れること(膵液瘻)がしばしばあり、膵液漏れが起こると出血などの危険な合併症が起きたり、きずの治りが大幅に遅れたりします。
一般的な膵液漏れの発生率は30~50%ですが、私たちが標準化した手技を用いて行った手術では約5%と極めて低率に抑えられています。
2018年10月に当センターを開設して以来、1年間に30例に施行し、膵液瘻は1例も発生していません(0%)。

③膵臓がんに対する腹腔鏡下膵体尾部切除術

当センターでは良性・両悪性境界疾患だけでなく、膵臓がんに対しても腹腔鏡下膵体尾部切除術を行っています。
膵臓がんに対する膵体尾部切除術は手術の難度がさらに高くなりますので、開腹手術も含めた膵臓がんの手術経験が豊富な外科医による執刀が望ましい手術です。
私たちは世界的にも数少ない腹腔鏡手術と膵臓がん治療の両方に精通したエキスパートであり、術前治療も含めた総合的な膵臓がん治療の一環として腹腔鏡下膵体尾部切除術を取り入れて行っています。

④脾および脾動静脈温存膵体尾部切除術

脾臓の栄養動脈は膵臓のすぐ近傍を通りますので、膵体尾部切除術の際には通常脾臓を一緒に摘出しますが、脾臓とその血管(動脈と静脈)を残して膵体尾部のみを切除する手術もしばしば行われます。
適応については学術的にも様々な見解があり今のところ一定の見解はありません。
外科手術においては、病気の取り残しや再発が起きないこと(根治性)が最優先の課題ですので、脾および脾動静脈を残すことで根治性に影響が無いことを慎重に検討する必要があります。


脾および脾動静脈温存膵体尾部切除術を希望される場合は、当センターに直接ご相談ください。

担当医師

消化器外科主任部長 消化器がん腹腔鏡・ロボット手術センター 副センター長

消化器がん腹腔鏡・ロボット手術センター
副センター長
消化器外科 主任部長
本田 五郎

卒大 / 卒年 熊本大学 平成4年
専門 肝胆膵外科
内視鏡外科
消化器外科一般

外来担当表

上記で説明した内容は、大まかなものです。実際にはそれぞれの疾患や患者さんの病状によりさまざまな違いがあります。詳細な内容については担当医がご説明します。また、ここにお示しするもの以外にも、施行可能な術式があります。情報が必要な方は当センターまで直接お問い合わせ下さい。