麻酔科 金 信秀 インタビュー

安全な手術のために患者さんの全身を維持・管理します

麻酔科
Anesthesia
副院長 兼
麻酔科主任部長 兼
手術室医長
金 信秀
Kin Nobuhide

目立たずとも手術に重要な役割を果たします

麻酔科は目立たない科ですので、何をしているのかご存じない方もたくさんいらっしゃると思います。手術する患者さんの痛みを抑えるために麻酔をかけるのはもちろんですが、執刀する外科医と相談の上、手術中に何が起きても対処できるように、あらゆる場面を想定して薬や電子機器などを準備しています。手術中は患者さんの血圧や心拍数をコントロールしながら、例えば合併症が起きたり、大量に出血したり、血圧が下がった時にどんな対応をするのかといったように、その時々でどんな薬を使うのか、どのくらい輸血をするのかなど、最善の治療につながる判断材料をそろえて術者に伝えます。どれを選ぶかは最終的に術者が決めますが、術者が決めた治療に沿って麻酔科医は患者さんが安定した状態で手術を終えられるように最善を尽くすのが仕事です。

患者さんの容態が安定すれば、術者も手術に集中できます。術者が行う手術の具合と、患者さんの状態、そして麻酔科医の仕事の仕方、この3つがうまくそろうと、手術は成功します。術後の経過がとてもスムーズで、患者さんも元気に退院されます。術者が手術に集中できるように、このように麻酔科は目立たないけれど、手術をする上で重要な役割を果たしているといえます。それだけに難しいと言われている手術が成功すると、関わった一人として、ささやかな喜びを感じます。患者さんから直接評価されることはありませんが、患者さんが元気で退院されたり、手術のプロである外科医から手術がしやすかったと言われると、大きなやりがいを感じます。

麻酔科医の僕を育てたこれまでの経験

僕は生後3カ月の時に腸閉塞で開腹手術を受けました。あと半日遅れていたら助からなかったと言われていたようですが、50年前の片田舎の病院ですから、満足な麻酔をされないままの手術だったと思います。その時の傷は今でも残っていますが、何事もなくこうして元気でいられるのが不思議なくらいです。思い返せば、僕が医療と関わることになった最初の出来事でした。医学部の学生の時、学部が主催する一泊旅行がありました。いろいろな科の先生たちと一緒に行きましたが、たまたま麻酔科の先生が横に座って熱心に誘われたことや、学生実習の時にいろいろな科や病院を回り、麻酔科の先生がとても輝いて見え、自分もそうなりたいと思ったのが麻酔科を選んだきっかけです。

僕はアメリカで長い間研修をしました。その時の一番の先生は非常に落ち着いていて、何があっても動じませんでした。その先生が僕のロールモデルになっています。命に関わることですから、医師には常に冷静さが求められます。麻酔科医が慌てていると、オペ室全体が落ち着きを失うので手術どころではなくなってしまいます。外科医も麻酔科医も冷静な状態で自分の実力を発揮することが、いい結果につながります。

患者さんは「家族」 手術のための準備は怠りません

僕は患者さんを自分の家族、身内だと思って仕事をしています。それは麻酔科にいる若い人たちにも言っています。例えばオペ室を常に清潔に保つことに注意を払っていますが、家族には清潔な環境で過ごしてほしいと思うからです。勤務がある日は朝5時45分頃には病院に来て、完璧にオペ室を整えて、手術に臨んでいます。手術の予定が決まった段階から僕は自分の体調管理も含め、準備を始めています。完璧に準備をするので、何が起きても絶対に対応できるという自信があります。それは全て「家族」である患者さんのためです。

選ばれる麻酔科であるための努力を続けます

外科から選ばれる麻酔科であり続けたいと思います。いつでも最高の手術を提供できるようにするのが僕の仕事なので、そのためには麻酔科に十分な人員も必要ですし、もちろん個々の麻酔科医の技量も必要です。そのためには日々努力をしないといけません。手術には大勢の医療スタッフが関わるので、オペ室はその病院の総合力が最も試されるといえます。外科医と麻酔科医はもちろん、看護師、掃除や滅菌をする人、手術に必要なものを揃える人、それらを購入する事務の人など、多様な職種のスタッフが関わりますが、どの職種でもかなり高いレベルで仕事をしているのが自慢です。

あまり知られていませんが、メディカルエンジニア(ME=医療現場で使われている機器を、安全に正しく使うハイテク技術者)のレベルも当院は最高です。医者が必ずしも十分な知識を持ち合わせていない分野を補ってくれますが、彼らの仕事に対する熱意をとても尊敬しています。

自信を持って最高の手術と医療を提供します

僕が麻酔科医になって25年になります。いろんな病院を見てきましたが、新東京病院はどの科も最高レベルの医療を提供していると断言できます。手術も流れるように進み、本当に見事です。宣伝するわけではありませんが、僕が患者さんを家族だと思っているのと同様に、自分の家族には絶対に当院で手術を受けてもらいたいと心から思っています。 お知り合いで何か手術が必要な人がいたら、当院での手術をお勧めします。最高の麻酔科のチームもいますので、最高の手術が受けられます。手術に限らず、あらゆる意味で最高の医療を提供しますので、安心していらしてください。