腹腔鏡・ロボット支援胃がん手術

胃は、食道から運ばれてきた食物を消化する袋状の臓器です。 入口と出口に逆流防止機構があり、食物を一定時間かけて軟らかくした後、少しずつ十二指腸に送り出します。 強力な酸性の消化液(胃酸)を1日2リットルほど分泌しています。

胃がんに対する腹腔鏡手術は、術後の痛みが少なく回復が早いという利点があり、さらに必要に応じて胃の周囲にある臓器や血管、神経を確実に残す精密な手術を行なうことで、手術による身体への侵襲(ダメージ)を最低限に抑えることができます。
腹腔鏡手術で胃がんを確実に切除するには専門的な高い技術が要求され、手術の確実性は施行する外科医の技術によって大きく左右されます。

当センターの特徴

当センターでは、胃がんに対する豊富な経験に基づいて、可能な限り低い侵襲で確実にがんを切除する腹腔鏡下・ロボット支援下胃がん手術を提供しています。
以下のように、当センターの手術には他施設にない2つの特長があります。

① 進行胃がんなどあらゆる病状に対応

全国的に、進行胃がんの患者さんに対する腹腔鏡手術はあまり行われていません。 再発率などの長期成績に関するデータが少ないことも理由のひとつですが、手術手技が複雑で難度が高いことがもっとも大きな理由です。

進行胃がんに対する手術では、胃やその周辺の切除範囲が大きくなり、がんを確実に切除するために、より複雑な操作が必要になります。

私たちが行っている胃がんの腹腔鏡手術手技は5年間にわたる臨床試験によって、進行胃がんに対しても安全であることが確認されています。

また、高度に進行した病状にも十分対応することができる一方で、胃の機能を可能な限り温存することを目的とした様々な手術をすべて腹腔鏡下に行える体制を整えています。

当センターで腹腔鏡下に施行可能なおもな胃がん手術
幽門側胃切除術、噴門側胃切除術、胃全摘術、残胃全摘術、神経温存胃切除術、幽門保存胃切除術、胃局所切除術

② ロボット支援胃切除術

腹腔鏡手術は身体への侵襲(ダメージ)を最低限に抑える優れた手術法ですが、手術器具の動作制限のために繊細な操作が困難な場合があります。こうした欠点を克服するために開発された手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)は、お腹の中で器具の先端を自在に曲げることができるため、動作制限が極めて少なくなり、その登場によって腹腔鏡手術の精度、安全性が飛躍的に向上しました。当センターでは、本邦でもっとも早い時期(2012年)から胃がんに対するロボット支援下手術を行っているエキスパートが、その豊富な経験をもとに精度の高い安全な手術を行っています。

各術式における胃の切除範囲(例)
各術式における胃の切除範囲(例)

担当医師

岡部 寛

消化器がん腹腔鏡・ロボット手術センター センター長
感染管理室次長
消化器外科主任部長
岡部 寛

卒大 / 卒年 京都大学 平成4年
専門 上部消化管(胃・食道)

外来担当表

上記で説明した内容は、大まかなものです。実際にはそれぞれの疾患や患者さんの病状によりさまざまな違いがあります。詳細な内容については担当医がご説明します。また、ここにお示しするもの以外にも、施行可能な術式があります。情報が必要な方は当センターまで直接お問い合わせ下さい。